ダブリンの映画館がリオープンになってから
自分なりに掲げてる目標があって
『毎週1回は劇場で映画を観る』
こと。
なんだかんだ言ってまだアイルランドには3年弱しかいないし
こちらに映画関係のお知り合いがいないので
単館系の形態や映画業界の話などは全くわからないのだが
日本で言えば、コロナ禍関係なく渋谷から映画館が軒並み消えてしまったのをリアルタイムで見てきているので(シアターNやシネマアンジェリカ、シネマライズ等…ううう)
映画館で映画を見るという行動は
今、できる時にしっかり味わっておきたいなという気持ちは常に持つようにしている。
もっというと
何を見るかというよりかは、どの劇場に行くかの方が私はワクワクさせられるし毎回の楽しみはそこにこそ意味を持つ。
ここダブリンにもミニシアター系が何個かあるので、同じ映画を観るにしても場所で選ぶことが既に作品の一部だし、
映画館という場所が大好きだから、映画を観るその日は映画のためだけに1日があって、朝起きてご飯食べて、お化粧して、ちょっとおしゃれなんかしちゃったりして、っていう。
いつもの日常とは切り離しとびきりな準備をして劇場で時間を過ごすよう全てに時間を捧げている。(これほんと誇張なしに)
昔、よく新文芸坐に映画を観に行っていて
小津安二郎特集とか溝口健二特集とかやると
お着物を着ていらっしゃるおばあさんとかが劇場には居て、なんて言うか、ものすごくかっこよく見えたし、憧れを持って自分も将来こうなりたいなとお門違いながら横目に映画を鑑賞していた。(確か流れるを観に行って、高峰秀子特集だったかのとき隣にいたマダムに、あなた若いのに成瀬好きなの?って聞かれて、超恥ずかしながら頷いたらかりんとうだかお饅頭だかを分けてもらった記憶があるw)
ちょっと言葉に嫌味をもってしまうかもだが、映画を見に行くことが簡単なことじゃなかった戦後すぐの頃からして、やっぱ映画館に行くことっておめかししたくなるくらい最高におっきいアドベンチャーだし、この日のために労働があったり自分の生活があるんだよなぁと改めて感じさせられる。
私もいくつになってもオシャレして映画館に通えるおばあさんでいたいなと思うし、本当素敵なことだと思う。
なんだか話がとっ散らかってしまったが
そんなわけでここダブリンでも私はかかさず新作チェックやリバイバル上映は抜かりなく観に行くよう心掛けている。
最近だと
スコットランドの『LIMBO』という作品がめちゃくちゃ面白かった。

UKで暮らすトルコ人のお話なのだが
テイスト的にはかなりアキカウリスマキに近い感じを受ける。


スコットランド英語がわたしにはちょっと難しくて、100%理解できたかと言えば
恥ずかしながら意味をうっすらしか飲み込めなかった部分は否めないが
描写のゆるさや、主人公の気持ちのしなやかさに、
ガチガチに受け止めなくても良いのよ〜と寄りかかれる思いで
ふんわりと心地よい作品で観るに沁みてくる優しい映画だった。
先週から上映が始まった
『CODA』も封切りにインしてきたのだが、あまりにも感情のスマッシュを打ち抜かれまくってしまい
劇場でベエベエ泣いてしまったw

アイルランドの映画🇮🇪といったらな『シングストリート』の主演フェルディア氏も今作主人公の彼氏役で出演している。
まさにCODAは女の子版シングストリートと言うべく
音楽っていいよね〜っていう青春もの。
Appleが製作をしているだけあって、大作感もあるし、
正直あんまりハリウッド映画は好きではないのと、こちら側を故意的に泣かそうとしてくる作品はうまく素直に見れないのだが
もう、あちら側の思う壺ごとくまんまとハマってしおれるくらい泣き倒しまいましたw
いや、それが良い。これはもう素直に泣いてしまおう。
こう言う気持ちが私にまだあったことにすらビックリだけど。

あと、これはぽんこつ留学生の私から言えるのは
映画に英語字幕がついていたのでかなり理解ができた。
当たり前だけどこっちで映画を観るのって
字幕なしなのと、映画の英語ってセリフだから結構飲み込むのが聞き慣れない故に難しいのだ。(邦画もそうだと思うけど)
ちょっとアンナチュラルな感じあるしね。
だから、英語で字幕があるとだいぶ聞き取りやすいし英語の勉強にもなる。
めっちゃ良かった。
日本では既に今年3月公開だとは思うが
アイルランドでは劇場がずっと閉まっていて全ての映画館のリオープンが6月前後だったため
ようやっとちょっと前に封切りになった『ノマドランド』

めっちゃ痺れた〜
すっごい苦しいんだけど、さりげなく降ってくる優しさや愛情にグッときちゃう。
話の内容はそれほどなんてことないんだけど
なんと言ってもな主演のフランシス・マクドーマンドの女優魂をぶつけられる作品。
ここまでしちゃうんかぁ、ってため息が漏れるほど。役者って本当すごすぎる…
そういうのって、主にセックスシーンとか、裸になることを示唆されそうだけど
ここで言いたいのは、そういうことじゃないってこと。
生きていく中で恥ずかしいことや人に見せられないのって結局はそこじゃないんだよなと。
人間としていろいろ見せてくれるマクドーマンド氏にうるっときてしまう。
『あの頃ペニーレインと』のママ役からこうなるのかっていう感動もあったり…
いやあ、マクドーマンド氏観るべくして見る映画。
ちょっとシニア向けな作品。
で、実はもう一個あげたい作品があって
今日のブログはそこを中心に描きたくてタイピングしているのだが
言葉に表したくても、感想を喉元を通って発せられないくらいトラウマ級な映画
『New Order』

一見聞くと、頭にブルーマンデーが流れてきそうだが
もうっっっっっあのバンドとは1ミクロンもまじりあうことのない映画であり、意味合いもてんで異なる異作。一体全体この作品の監督は何を持ってして
タイトルをニューオーダーにしたか聞いて見たいし
いや、正直もうちょっと色々が無理すぎて監督の他の作品とかまで掘れないと思う。
(監督はミシェル・フランコ)
メキシコの映画なのだが
私の中でメキシコといえばなイメージは、日本で言ったら菊地凛子のバベルだし
ガエル・ガルシア・ベルナル主演の天国の口、終わりの楽園。とか
シェイプオブウォーターのギレルモ・デル・トロ監督とか。
なんとなくの私なりのメキシコって〜
みたいな感覚があって、ちょっと鋭い作品が多いというか、大胆かつアート感のある
刺激的なものが多く、大変興味深いゆえ
今作のメキシカンにもとっても期待膨らましていたのだが
正直、見なければ良かったしかでてこない…
知らない世界はあって良いと私は思っている。
見終わった後、くるしくってくるしくって眩暈がする思いで劇場を後にしたし
途中でなんどとなく退場しようかとも考えた。
吐き気がしんどかったゆえに…
(初めて、この作品だけは前席で見るべきものじゃない映画だなと体感した)
ただ、作品自体90分弱なので短いのだけが幸いだったが
本当見るに耐える映画でしかなく
たった一本の作品でこんな気持ちにさせられてしまうなんてと。
トラウマがいまだに拭えなくて苦しすぎる…
最近、ほぼ毎日お兄ちゃんとメールしてるのだが(兄者大好き)
ちょっと辛すぎて終わってすぐ連絡したら
どんな話なの?って聞かれて、
んー、
ファニーゲームみたいな感じかなと、とっさにでたけど。

いや、あんなもんじゃないな。とあとから訂正した。
後味が本当に悪すぎて、この胸くそな思いをいったいどこに吐いたら良いかわからなくてまたそこに憤りをも感じる。
言うならば私はファニーゲーム(ちなみにU.S.A)が大好きだったけど

今作は、大嫌いだし、もう一生観ることも掘り下げることもしたくはない。
誇張なしに、今まで見てきた映画の中で一番最悪だった。それは裏を返せば(返したくもないけど)それくらい衝撃的で、素晴らしい作品ではあるとは思うのだが
本当に本当に本当に、しんどいはなしなので
オススメはしたくないけど
一人ではもうどうにも受け入れ難いから、もしこれから見られる方いましたら是非みた折り、教えて欲しいです。私と話してください。
衝撃がすごすぎます…
さてさて
また今週もダブリン市内、新作がたくさんリリースされるからめちゃくちゃ楽しみ!
アイルランドの映画の新作もあるようなので
その辺りも追っていきまーす。
P.S.
新作は封切りで見ることに優越感浸ってます✌︎(‘ω’)✌︎
大事ね